2011年2月12日土曜日

2011年2月12日(土) 石鎚山 雪崩(「某 山岳会」の記録から 引用)


2011年2月12日(土) 石鎚山 雪崩

「某 山岳会」の記録から 引用

2011年2月12日(土) 
 9:50 二の鎖元→14:00 ロープウェイ成就駅  への下山中 雪崩に遭遇

「....テントを撤収し、装備を整えて下山開始。歩いているうちにますます視界が悪くなり、時々強い風が吹く。不安定な天候の中、樹林帯の中をジグザグに下山していく。完全なホワイトアウト状態ではなく、かすかな視界はあったが、どこが登山道なのかはまったくわからない。地図で確認しながら進んでいく。N尾さんはどっちに進むのか少しでも迷ったら、勘で先に進まずに必ず地図やコンパスで確認し、慎重に判断していく。あの悪天候の中、そうやって行動できることはとても大変なことだと思った。こんなピンチの状況下でのN尾さんの判断力はほんとうにすごいと思った。もしN尾さんがいなかったら間違いなく遭難していたと思う。

そんな悪天候の中、樹林帯をトラバースしながら下山していたところで、なんと雪崩に巻き込まれる。誰かが、「雪崩!!」と叫んだ次の瞬間には、頭上の斜面を雪崩がすごい勢いで流れてきた。最後尾にいたK藤さんと、その前にいた私が雪崩と一緒に斜面を数メートル転がっていく。雪崩と一緒に斜面を転がりながら、背負っているザックが重くて体が仰向けになってしまい、顔が下の方に埋まってしまいそうで怖くて、必死でもがいてうつぶせ状態になった。雪が体に被さって足は重くて動かなかったが、顔だけでも出そうと必死で両手でもがいて顔を出す。ああ、助かった!!よかった!!幸い小さな雪崩だったので自力で脱出することができたが、もしもあれが大きな雪崩で、体の上に雪がどんどん被さってしまったら、重くてもうびくりとも動くことができなくなるのかなと思うと、とても怖くなった。

それからは雪崩の恐怖と戦いながらの下山となった。雪崩れそうな箇所にさしかかると怖くてたまらなかった。万が一雪崩れた場合の、ピッケルを雪に刺す制止体制を教えてもらう。なるべく雪崩そうな箇所を避けながら下山していった。相変わらずホワイトアウトで視界が悪く、風が音を立てて吹く。半分は下っただろうか。このあたりからは登ってくる登山者とちらほらすれ違うようになった。登山者とすれ違うたびに、N尾さんが雪崩の危険のことなどを説明する。

途中で引き返しているパーティーもいたが、そのまま登っていく人たちもいた。今、登ってきた人たちのトレースが残っていたので、このトレースをたどって行けば迷わずに下山できる、そう思ってトレースをたどっていくが、相変わらずの吹雪のせいで、10 分もしないうちにトレースは跡形もなく完全に消えてしまう。

このときは雪山の恐ろしさを感じた。それからも下山するパーティーに道を譲ったり譲られたりしながら下山を続けた。もう雪崩の心配はないというあたりまでくるとかなりほっとした。さらに歩き続けていると、ようやくロープウェイの駅が!!上の方は吹雪で大荒れなのにこのあたりまで下りてくると、うそのように風もやみ穏やかになる。ああ、無事生還できた。一同、緊張がほどけてほっとした顔になる。....」

PDFファイル

http://pinnacle-mountain.jp/hp/report/2011/20110211-12-ishiduchiyama.pdf








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